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24時間給気と排気を繰り返し、室内の空気を循環してくれる24時間換気システム。24時間換気システムの役割と換気が必要な理由について紹介します。
換気と聞いて思い浮かべるのは、キッチンやトイレにある換気扇ではないでしょうか。換気扇の換気と24時間換気システムでは、まったく異なる役割を担っています。換気扇は短期間で一時的に空気を入れ替えるのに対し、24時間換気は家の中の空気を循環し、結露やシックハウスを防ぐ役割があるのです。
PM2.5や排気ガスで汚れているイメージの外気ですが、実は家の中の空気は外気よりも汚れているといわれています。そのため、空気をしっかり循環する必要があるのです。
人が生活しているだけで、なぜ室内の空気が汚れるのでしょうか。汚れた空気の正体を見ていきましょう。
室内には目には見えないハウスダストが大量に浮遊しています。ハウスダストはアレルゲンの原因にもなり、目のかゆみやのどの痛み、鼻水といった健康被害を招いてしまいます。ハウスダストは人が動くと舞い上がるため、しっかりと換気してハウスダストを室内から排除しなければなりません。
人間が呼吸すると、二酸化炭素を吐き出します。換気によって新しい酸素を室内に取り入れ、二酸化炭素を排出する必要があります。CO2濃度が高い部屋で過ごしていると、眠気に襲われたり頭痛の原因になることも。ひどい影響が出るわけではありませんが、健康で暮らしやすい環境を整えるには換気が必要です。
塗料や防腐剤に含まれている化学物質のVOC。VOCが気化して空気中を漂うと、シックハウス症候群の原因となる恐れがあります。シックハウス症候群になると、頭痛や吐き気、めまいといった症状が現れることも。化学物質を室内に滞留させないためには、24時間換気することが大切です。
24時間換気とキッチンの換気扇による換気では目的が異なります。換気の目的を明確にして、24時間換気の必要性を理解しましょう。
24時間換気システムを使用した常時換気は、システムを作動し続けて換気する方法です。室内に新鮮な空気を取り入れたり、ハウスダストや化学物質を排出する目的で使用されます。シックハウス症候群、化学物質やハウスダストによるアレルギー症状を和らげてくれる効果が期待できます。
24時間換気システムでは、1時間で室内の半分の空気を入れ替えることが目的。メンテナンス時以外は稼働を止めてはならず、常に動かし続けておく必要があります。現在は建築基準法が改正され、2003年からは24時間換気システムの設置が義務付けられています。
キッチンやトイレ、お風呂に設置されている換気扇が局所換気システムです。設置の目的は、においや湿気の排出。空気汚染が発生する場所で、必要に応じて換気を行う場所に設置されています。
ピンポイントに設置することで、においや湿気を素早く外へ排出することが可能です。
24時間換気システムの種類には、大きく分けて3つの種類があります。
第一種換気は室内に空気の流れを作るために、給気と換気の両方に換気扇を設置する方法です。
第1種換気のメリットは、各部屋を確実に換気できる点です。窓の開閉による影響を受けにくいため、効率のよい換気が可能です。室内の温度を逃がさないので省エネ効果も期待できます。給気口にフィルターを設置すれば、外部からのPM2.5や花粉の侵入を防ぐこともできます。
大きなデメリットとしては、導入コストが高いことでしょう。ダクトを伴うため、ダクトの設計や施工でコストが高くなります。ダクトの清掃やフィルター交換といったランニングコストがかかることも頭に入れておく必要があります。
機械で給気を行い自然に排気する方法を第2種換気といいます。一般的な家庭で第2種換気はあまり導入されていません。
第2種換気のメリットは、第1種換気と比較するとコストがかからないこと。換気扇を給気側にしか設置しないため、施工費用を抑えることができます。
給気と排気の位置をよくプランニングして設置しないと、しっかりと換気することが難しくなります。
現在、一般住宅で最も多く採用されているのが第3種換気です。機械と空気圧を使用して、家の中の空気をきれいにする方法です。トイレやお風呂に排気口を設けて、外部に面した位置に給気口を設置します。
仕組みが分かりやすく、設置コストを抑えられるのが大きなメリットです。メンテナンスも手軽で、ランニングコストはほとんど必要ありません。
第3種換気のデメリットは、空調効率の低下を招くため、エアコンで冷やした空気や温めた空気も一緒に外に逃してしまう点です。住宅全体の換気には非効率的。自然給気となるため、屋外からの有害物質の侵入をすべて防ぐことは難しいでしょう。
24時間換気システムは、設置する種類によってエアコンの効果に影響する可能性があります。そこでおすすめなのが、熱交換型換気システムです。
熱交換システムとは、夏は室内の冷たい空気を利用して外気の暑い空気を冷やし、冬は室内の暖かい空気を利用して外気の冷たい空気を温める方法です。外気温がそのまま家に入ってこないので、室内の温度を一定に保つことができます。近年、戸建て住宅で多く採用されている「第1種換気+熱交換システム」を使えば、部屋の温度を維持したまま空気の循環が可能になります。
24時間換気システムは健康で快適な暮らしには必要なアイテムですが、第1種換気システムは設備コストが高く、ランニングコストもかかります。第1種換気+熱交換システムを導入するのであれば、予算と相談しながら採用する必要があるでしょう。
熱交換システムを使用する際は、適切な対策ができているかどうかが大切です。対策が不適切だとダクト内にカビや汚れが発生し、熱交換型換気システムの本来の役目を果たせなくなってしまいます。室内とダクト内の温度差やダクト内の風量、さらには、メンテナンスのしやすさからランニングコストまで。さまざまな対策が必要です。
花粉やPM2.5の侵入対策としてフィルターを設置する場合、ある程度精度の高いフィルターを使用することをおすすめします。性能の低いフィルターでは微細な物質をキャッチできず、給気口が取り入れ口となってしまう危険も。フィルターは高性能なものを使用し、熱交換型換気システムの効果を高めましょう。